アジア人材資金構想

高度専門留学生育成事業 公益財団法人北九州産業学術推進機構((学)早稲田大学、(公)北九州市立大学、(国)九州工業大学)

■ 5年間の事業の成果

北九州学術研究都市には、北九州市立大学、九州工業大学大学院、早稲田大学大学院、福岡大学大学院の4つの理工系の大学・大学院が進出しており、複合キャンパスという特徴を活かしてユニークな人材の育成が行われています。
 本事業は、アジア人財資金構想高度専門留学生育成事業において、唯一複数大学での事業モデルとしてこれまで北九州学術研究都市で培ってきた「情報分野」、「環境分野」の知的基盤を背景に公益財団法人北九州産業学術推進機構(以下、FAIS)が中心となり、ワンストップ型の留学生支援事業を行ってきました。
 情報分野は、広い技術領域を有する情報システム技術の分野の中で日本企業での留学生の今後の活躍が期待される領域として、本事業では組み込みシステム開発領域と情報システムエンジニアリング領域の2領域を取り上げ、日本への留学生が社会的・技術的ニーズに応えうる高度な知識と実践技術教育プログラムを開発してきました。
 一方で環境分野については、北九州市の「環境首都」宣言を背景に、我が国の「環境モデル都市」としての先導的立場から、北九州地域に立地する産業基盤と実体験を積ませることができる企業・機関が存在します。このような環境技術等の分野でアジア諸国の我が国に対する期待は非常に大きく、環境関連企業の海外の海外進出は増大するものと考えられます。本事業では、環境問題と資源とエネルギーの有効利用に対応できる人材を育成するプログラムを開発してきました。
 このような背景から「情報分野」または「環境分野」における専門知識を有し、かつ語学力(日本語能力)と日本社会・日本企業に対する深い理解を有するグローバル人材を育成することを目標として事業を実施してきました。
 事業の一番の成果としては、高い就職率であり約95%(就職者/受講学生)の受講生が日本企業・日系企業に就職することができたことです。産学連携専門教育やビジネス日本語、日本ビジネス教育はもとより、就職活動講座(模擬面接、メークアップ講座、)や就職セミナー等の就職活動に関する知識とノウハウの提供と、キャリアカウンセラーによる個別相談受付の取り組みを組み合わせることにより、効果的に留学生の就職支援を実施したことが高い就職率に繋がったと考えています。
 また、受講生の評価で最も高かった教育は、ビジネス日本語教育であり19年度より日本語講師の熱心な指導のもと、効果測定指標であるBJTビジネス日本語能力テストにおいても最終段階では実施段階に比べ平均点で約60点~100点の向上が見られました。専門教育や就職活動においては、日本語能力が鍵になるとの認識を持ちコンソーシアム全体で早期の底上げを図った結果、成果が上がったものと考えています。
 また、本事業においての特色である複数大学で事業を実施する体制については、1大学では留学生数も少なくこれまで積極的に実施することができなかった留学生への教育・支援について、アジア人財資金構想高度専門留学生育成事業参加の3大学(北九州市立大学、九州工業大学大学院、早稲田大学大学院)がこれまで個々に実施してきた方法を中心に3大学が協同して実施した方が効率的・効果的となる事業について、ワンストップでFAISが行う等役割を分担することで、各大学の負担の軽減を行うとともに、北九州学術研究都市に在籍する留学生に効率的に提供することが可能となりました。
 その結果、本事業で蓄積したビジネス日本語教育、日本ビジネス教育、就職支援事業について、自立化後もFAISが中心となって継続して3大学の留学生に提供することができました。

■ 自立化後のコンソーシアムの取組内容

公益財団法人北九州産業学術推進機構((学)早稲田大学、(公)北九州市立大学、(国)九州工業大学)

自立化後の運営体制は、FAISと北九州学術研究都市内の北九州市立大学、九州工業大学大学院、早稲田大学大学院の3大学でプログラム委員会を構成し、事業計画を決定し運営しています。
 プログラムはビジネス日本語、日本ビジネス教育と就職支援事業の2つの事業を柱として、2つの手法により実施しています。1つ目は、これまでの事業と同様に優秀な学生を選抜しビジネス日本語、日本ビジネス教育、就職支援を継続して実施しています。平成24年度は23名を採用して実施しています。
 2つ目は、「日本ビジネス教育」、「就職支援事業」の一部を日本で就職を希望する北九州学術研都市内大学の修士留学生に開放を行うことにより、より広くアジア人財資構想で得た知見・ノウハウを提供しています。

【ビジネス日本語・日本ビジネス教育】
□ 就職支援ビジネス日本語

ビジネス日本語教育については、日本企業への就職を勝ち取るために必要な日本語能力を育成するとともに、就職後、日本ビジネス界において有用な人材として活躍するために必要な日本語コミュニケーション能力を身につけることを目指します。
 対象者は、本プログラム受講生に限定して実施しています。
 1クラス10名程度の2クラスにて、週2コマ(1コマ90分)年間60コマ実施しています。
 到達目標としては下記2点を目指して教育を行っています。
1.FAIS就職支援プログラム(就職支援事業にて詳細を説明)を通じて学んだ自己分析、企業分析を積極的に行い、自己実現にふさわしい企業を特定し、その内定を獲得するため、就職試験を意識した日本語力を身につけます。
①自分を見つめ、確固とした自分を日本語でアピールできる能力
②自分の専門を日本語でわかりやすく説明できる能力
③企業の情報を集め、企業を選んだ理由を日本語で説明できる能力
④ニュース等、メディアの情報に対して自分の意見を持ち、日本語でディスカッションできる能力
2.企業入社後に必要な日本語力を「読み、書き、聞き、話す」の4つの技能について総合的に身につけるとともに、日本のビジネス文化に対応できる文化的柔軟性を身につけます。

□ 日本ビジネス講座

日本ビジネス教育については、日本での就職活動や就業後にソフトランディングできるよう日本企業の文化慣習や仕組みについて北九州市立大学のビジネススクール講師陣による座学と工場見学を通じて教育を行っています。また、一部の講義に企業から講師を招聘することにより、実際の企業現場での情報を習得することができます。
 対象者は、本プログラム受講生と一般留学生30名程度で実施しており、短期集中型(4日間12コマ)にて実施しています。
①日本企業の国際経営
②企業文化・企業風土(トヨタ自動車九州株式会社)
③日本の金融
④日本の企業と会計・財務分析
⑤環境経営と地域貢献(TOTO株式会社)
⑥持続可能な発展とリサイクルビジネス
⑦日本企業の知識経営
⑧日本企業の工業経営(株式会社安川電機)
⑨日本の行政システムと財政
⑩九州の産業・九州の企業
⑪⑫トヨタ自動車九州工場見学(2コマ)

【就職支援事業】
□ FAIS就職支援プログラム

プログラム受講生及び日本で就職を希望する北九州学術研究都市内大学の修士留学生を対象として4回シリーズでセミナーを実施しています。本プログラムでは、就職活動の準備を早期に行えるよう6月から開始し11月までに万全の準備が整えられるようスケジュールを組み開催しています。
 各回3コマ(1コマ90分)

第1回「就活キックオフセミナー」 6月頃
 1時限「日本の就職活動の流れを知ろう」
 2時限「自分の強みを知ろう」
 3時限「業界・企業研究をしよう」

第2回「就活ノウハウセミナー」 7月頃
 1時限「自己PRを作成しよう」
 2時限「仕事研究をしよう」
 3時限「履歴書の書き方~筆記試験対策」(SPI2他)

第3回「就活攻略セミナー」 10月頃
 1時限「就職活動対策講座、人事採用担当者の目線習得講座」
 2時限「自己PRブラッシュアップ講座」
 3時限「エントリーシート対策講座」

第4回「就活実践セミナー」 11月頃
 1時限「実践ビジネスマナー講座、面接対策講座」
 2時限「グループ面接対策講座」
 3時限「コンピテンシー面接対策講座」

□ F模擬面接セミナー

プログラム受講生及び日本で就職を希望する北九州学術研究都市内大学の修士留学生を対象として、2月に模擬面接セミナーを開催しています。模擬面接セミナーでは、集団面接、グループディスカッション、個人面接等それぞれの面接形態を実際に実施し、終了後は面接官が受講生にアドバイスするまでを実施しています。

□ F身だしなみ講座

プログラム受講生を対象に服装・メイク・髪型等の就職活動を行うための身だしなみ講座を実施しています。

□ Fキャリアカウンセリング

就職活動が始まる直前の11月頃からキャリアカウンセラーを3名配置し、プログラム受講生を対象に個別のキャリアカウンセリングを実施しています。
 4回のガイダンスを受けた後に、就職活動開始後の個別の相談、指導を行い、また精神的フォローも含めて実施します。

□ F合同企業説明会の実施

留学生向け合同企業説明会について、自治体等との共催で開催しています。プログラム受講生はバスにて会場まで動員するなど積極的な参加を呼びかけ留学生採用企業との接点創出を行っています。

■ 留学生、大学、企業が参加するメリット

□ 留学生

・留学生に特化した就活支援(ビジネス日本語、日本ビジネス、就活集中セミナー、模擬面接セミナー、身だしなみ講座等)を受講できる。
・留学生がFAIS就職支援プログラムに参加することで日本の企業への就職活動のノウハウを学び、就職に結びつくケースが増える。

□ 企業

・優秀な留学生とのインターンシップを介した接点の創出
・日本語レベルが高く、日本の企業風土等を学んでいる優秀な留学生の獲得

■ 留学生、大学、企業の参加方法

□ 留学生

【対象】
 北九州学術研究都市内の北九州市立大学、九州工業大学大学院、早稲田大学大学院に在籍する留学生で北九州地域の日本企業等に就職を希望する学生
【参加方法】
 上記各大学にて広報を行い、募集・選抜を実施する。選考要件としては、学業成績が優秀かつ日本語能力検定N2以上
 詳細は下記の連絡窓口へお問い合わせください。

□ 企業

【対象】
 留学生のインターンシップ受入や採用意向をもつ企業
【参加方法】
 ①留学生インターンシップの受け入れ
 ②留学生の採用
 ※詳細は下記の連絡窓口へ問い合わせください。

■ 連絡先

公益財団法人 北九州産業学術推進機構 留学生支援オフィス
TEL:093-695-3111

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