高度専門留学生育成事業 公立大学法人 会津大学
■ 4年間の事業の成果
会津大学の特長は、日本初の専門大学として充実したコンピュータ教育、研究環境があることです。
開学当初から現在まで約4割の教員が外国籍であり、大学院の授業は全て英語で行われるなどグローバルな環境の中で、UNIXコンピュータを日本で初めて全学に整備するなど、世界的にも最先端の教育と人材育成に取り組んできています。
アジア人財資金構想に採択されたことによる3年間の事業の成果は、大きく以下の3点にまとめられます。
1点目は、大学のグローバル化がより進み、優秀な人材が集まるようになったことです。アジア人財を実施した結果、本学の留学生数が倍増するとともに、アジア諸国の優秀な人材が集まるようになりました。特に大学院では定員200名のところ50名以上(3割弱)まで留学生比率が高まり、大学の国際化に大きく貢献しています。
2点目は、産学連携専門教育プログラムにおいて「安全・安心な組込みシステムの基礎と実践」「機能安全システムの基礎と実践」「プロジェクトマネジメントの基礎と実践」科目を開発し、現在も大学院の正規科目として定着している点です。現在、身近にある様々な装置内にはソフトウェアが実装され、その不具合が社会的にも大きな影響を及ぼすなど、安全に関する認識と技術を持つ組込みシステム開発技術者へのニーズが高まっています。このようなニーズを踏まえ、上記プログラムによってその基礎知識から系統的な専門知識、さらにプロジェクト管理までを一貫・体系的に習得できます。
3点目は、アジア圏の有力な大学とのネットワークが強化されたことです。平成23年10月より開始された自立化プログラム「国際IT日新館」においては、このネットワークを活用し、アジア諸国を中心とした優秀な人材のリクルートを行っています。ちなみに、「国際IT日新館」という名前は、江戸時代、全国屈指の藩校であった會津藩の藩校日新館に由来しています。このプログラムでは、その精神を継承し、単に技術力の高い人材の育成にとどまらず、文化に対する深い理解と高度の専門技術を兼ね備えた優秀な次世代リーダーの育成を目指しています。
なお、本学では、東日本大震災により、多くの留学生が自国や他県に一時避難しましたが、学内外の情報提供、温かい支援もあり、現在では短期留学生受入人数が増加するなど、状況は回復しています。
■ 自立化後のコンソーシアムの取組内容
アジア人財資金構想では、地元企業を中心に約20社がコンソーシアムへ参加していただきました。平成23年10月以降の自立化プログラムにおいても、これらの企業にはインターンシップの受け入れ、採用などのキャリア形成面や、産学連携教育の講師として引き続きご協力いただいています。
自立化後の運営体制は、教員(産学連携科目担当)、大学教育推進員(ビジネス日本語担当)、国際戦略本部(留学生支援)、就職支援室キャリアコーディネーター(就職支援)、大学事務局が連携して実施しています。
また、自立化プログラムでは、アジア人財資金構想受講生の出身校を主とした「国際IT日新館推薦校」より推薦を受けた優秀な学生から選抜した特待生に対し「国際IT日新館奨学金」も用意し、県内・国内企業の発展、地域産業の振興に寄与する「会津発グローバルITリーダー」の育成を継続しています。
【産学連携専門教育プログラム】
□ 「安全・安心な組込みシステムの基礎と実践」(大学院科目 2単位)
本科目では組込みシステム開発の最も基本となる知識を学び、デモと演習による簡単な組込みシステムを体験することに加え、組込みシステムの開発においての安全性と品質に対する考え方と基本的な技法を紹介します。さらに安全系の組み込みシステム開発の経験を持つ技術者によって教えられる実践的な内容も含みます。
□ 「機能安全システムの基礎と実践」(大学院科目 2単位)
最初に組込みシステムの基礎的な理論と安全性の背景について学びます。次に、機能安全の考え方とIEC61508について紹介し、さらに、V&V手法やリスク分析手法などの機能安全システムの開発に必要となるツールや技術について詳術します。また、機能安全システムのアーキテクチャや機能安全のオペレーティングシステム、機能安全ネットワーク、開発ツールなど、機能安全に関するケーススタディも検討し、加えて国内および海外の調査に基づく世界の動向についても触れます。
□ 「プロジェクトマネジメントの基礎と実践」(大学院科目 2単位)
本科目ではプロジェクトとは何か、プロジェクトマネジメントの知識体系、システム開発プロジェクトに必要となるプロジェクトマネジメント技術を習得します。利用者の求めるITシステムを成功裏に構築するために、利用者、開発者それぞれの立場で考えるべきことはなにか、近年のIT(情報技術)を駆使したシステム開発でのプロジェクトマネジメントの基本を学び、組込み系のプロジェクトでのプロジェクトマネジメントの特徴、グローバルプロジェクトの管理についても学習します。
なお、国際IT日新館特待生は、以上の三科目を必修としています。
【ビジネス日本語・日本ビジネス教育】(全学対象)
平成23年度後期より「国際IT日新館 ビジネス日本語・日本ビジネス」教育を実施しています。
□ 初級後期 総合
〈対象〉初級前期の文法・ことば・漢字を理解している人。
〈目標〉日常生活に役立つ会話と読み書きができるようになることを目標とします。
□ 中級レベル 総合
〈対象〉日本語能力試験N2級程度以上の人。
〈目標〉学習した文法項目を使い、自分の意見を「発信する力」を身につけることを目標とします。
□ 中級~上級レベル 会話
〈対象〉
・日常会話はできるが、自分の感情や意見を詳しく説明できない人。
・相手により話し方を変えることができない人。
・日本人がよく使う自然な日本語(くだけた表現)に慣れていない人。
〈目標〉会話場面におけるリスニング力を高め、場面に応じて適切に話すことを目標とします。
□ 中級レベル 作文
〈対象〉中級前期の文法事項を学習した人。
〈目標〉学習した文法事項を使い、論理的な文書を作成します。
□ 上級レベル 待遇表現
〈対象〉既に、敬語の基本的な使い方について学習した人。将来、日本企業に就職したいと考えている人。
〈目標〉社会的な場面で求められている話し方、マナーを身につけることを目標とします。
□ 上級レベル 総合
〈対象〉日本語能力試験N1級合格レベル
〈目標〉学習した文法項目を使い、論理的で明解な説明ができるようになることを目標とします。
このプログラムの特色の一つとして、「国際IT日新館」チューター制度により、日本人学生チューターによる日本語学習支援が受けられることです。この制度により、留学生個人では成し得ない学習効果向上が見られています。また、アジア人財資金構想事業で作成した4冊の自主教材(就活関係、生活関係、文化関係等)を活用し、指導に役立てています。
【インターンシップ】
特待生には、夏季休暇中に20日間のインターンシップを課しています。また、その他の希望者に対しては、大学教育推進員、就職支援室等が相談に対応し、インターンシップ先のコーディネートを行っています。
【就職支援】
アジア人財構構想において作成した『理系版 見開きでみられる!会津大学外国人留学生のための就職活動ガイド』を活用し、就職支援室キャリアコーディネーターと大学教育推進員が連携して就職支援を実施しています。模擬面接においても、人事面接の練習は大学教育推進員(ビジネス日本語担当)、技術面接の練習はキャリアコーディネーターが担当しています。
また、必要に応じて経験豊富な外部講師にマンツーマンでの指導を依頼するなど、学生の目標達成のための支援を行っています。
【大連・福島産学共同IT人材育成モデル】
アジア人財資金構想自立化後のもう一つのモデルが、産学共同IT人材育成事業「大連・福島産学共同IT人材育成モデル」です。これは会津大学が一般交流協定を締結している中国大連の大学、福島県に本社のある企業との3者連携により国際IT人材を育成することを目指したプログラムです。
□[中国人学生を日本へ]
大連の大学の学部4年生の中から、日本企業への就職を強く希望し学業優秀として選抜された生徒を対象として、会津大学でのIT技能のレベルアップと、当該企業へのインターンシップを連動させたプログラムで、最終的に協定締結企業への就職を見据えながら、日本語、英語、中国語の3ヵ国語に堪能で、日本の企業文化に通じたトップレベルのソフトウエアエンジニアを育成しようという意欲的なプログラムです。
□[日本人学生を中国へ]
本学の日本人学生を上記中国大連の大学に派遣し、同時に当該企業の大連開発センターでのインターンシップを行うことによって、グローバルIT人材としての資質形成を目的としたプログラムです。
■ 留学生、大学、企業が参加するメリット
□ 留学生
・日本文化、日本企業への理解が深まる。
・ビジネス日本語、ビジネスマナーの習得することができる。
・インターンシップを通じた日本ビジネスの実務体験ができる。
・日本企業への就職に向けた各種就職支援を受けることができる。
・将来のキャリア形成に向けた、選択肢を広げることができる。
□ 企業
・優秀な留学生の情報を得ることができる。
・留学生のリクルート活動に対する情報交換をすることができる。
■ 留学生、大学、企業の参加方法
□ 留学生
〈留学生(特待生・奨学金あり)〉
【対象】
博士前期課程修了後、日本・日系企業への就職を強く希望する者で、「国際IT日新館推薦校」より推薦を受け、「国際IT日新館特待生選考試験」に合格した者
【参加方法】
留学生のインターンシップ受け入れや採用意向をもつ企業
〈留学生(一般生・奨学金なし〉
【対象】
卒業後、日本・日系企業への就職を強く希望する者
【参加方法】
留学生のインターンシップ受け入れや採用意向をもつ企業
□ 企業
【対象】
留学生のインターンシップ受け入れや採用意向を留学生のインターンシップ受け入れや採用意向をもつ企業もつ企業
【参加方法】
下記の連絡窓口へ問い合わせください。
■ 連絡先
公立大学法人 会津大学 産学イノベーションセンター
TEL:0242-37-2571
E-mail:cl-innov@u-aizu.ac.jp