アジア人材資金構想

高度専門留学生育成事業 国立大学法人 東京大学

■ 4年間の事業の成果

プログラムの実施を通じて、欧米の大学等との獲得競争に負けない優秀な留学生の国際的な受け入れ態勢と、より実践的な教育科目の充実、日本企業への就職体制、および全学のグローバル化推進への影響を及ぼすに足る成果を得ることができました。
 工学研究科全体の動きとしても、当プログラムと連動する形で、「(日英)バイリンガルキャンパス構想」という新しいコンセプトが、平成21年度から始まりました。これは、日本人学生、留学生ともに、日英2ヵ国語で学ぶというもので、この動きの中で当プログラムも途中より、入学の日本語力よりも本人の能力を重視し、優秀な学生の呼び込みを図る体制に変更しました。そのために、学業成績、研究成果、英語力等欧米の大学とほぼ同等の学生募集基準を設定し、かつ北京大学等アジアのトップ校からを中心に学生を募集し、より優秀な学生の獲得で実績をあげています。日本企業への就職には高いレベルの日本語力の習得が必要であるため、入学直後にガイダンスを行い日本語学習の重要性を特に理解させ、最初の6か月は、日本語習得へ重点を置き、かつ日本語負荷の低い統計学等の授業を中心に受ける形を推奨しています。
 プログラムは現在「国際技術経営プログラム」と名称を変え英語による授業として継承しています。

■ 自立化後のコンソーシアムの取組内容

国立大学法人 東京大学
【産学連携専門教育】

プログラムにて「アジア研究開発マネジメント」「グローバルビジネス」「国際知的財産マネジメント」の3科目を新規に作り正規科目として実施されてきました。現在は全て英語による授業としています。

□「アジア研究開発マネジメント」(International Technology Management)2単位

この授業は技術開発の国際化とそれに関する経営的な課題を学ぶ。授業には国際的は企業等から講師も招く予定。

□「グローバルビジネス」(Global Business)2単位

グローバルビジネスを理解する上で重要な全体戦略、事業投資、戦略アライアンス、マーケティングなどの各項目について、理論に関する講義、ケーススタディ、ケースに対応した実務家からの講義を組み合わせ、グローバルビジネスの実態を学ぶ。

□「国際知的財産マネジメント」(International intellectual property management)2単位

様々な知的財産制度において国際的な仕組みを理解し、実際のビジネスにおいてどのような対処が求められるのかについて、講義およびケーススタディ、ケースに対応した企業や知的財産専門家からの講義、国際知財紛争についてのケース討論などを組み合わせ、グローバルビジネス遂行に必須な知的財産問題の理解を深める。

【ビジネス日本語・日本ビジネス】

日本語教育は工学系大学院全体として「工学系日本語教育部門」に統合しました。 同部門では、導入から初級中級上級までの30クラスをそろえており、英語基準で入学してきた留学生にも十分対応できています。また「ビジネス日本語」教育のノウハウは、一部「日本ビジネス事情」教育の内容も加味し、研究科で独自に制作した教材と共に、上級講座において展開しています。これにより、工学系大学院の留学生(全学の3割相当)全体にノウハウが提供できることになり、他学部へのモデルとして波及効果も期待できます。
 工学系研究科内に、国際的な教育を推進する「国際工学研究推進機構」が昨年度から設置され、中期的には、当プログラムはこの中で執り行われている予定です。

【インターンシップ】

自立化後は選択科目としていますが、学生の7~8割は参加しています。
 単位認定には2週間以上の参加が必要で、企業からの要望の多くは日本語が出来ることが条件になっています。受け入れ先は、従来からのコンソーシアム企業が主体となっています。
 当プログラムは全員が秋(10月)入学で、インターンシップは翌年の夏なので、4月入学に比べて半年間長く日本語を学んだうえで参加出来るメリットがあります。

【留学生推進事業】

プロジェクト終了後も文部科学省より5名の渡日前国費奨学生の優先配置枠をいただいており、渡日前に奨学金支給が決定できることで、世界トップレベルの学生に確保に役立っています。
 採用チャネルとしては、アジアのトップ大学に絞り協定を結び、学生の紹介を受け選考しました。一旦学生が入るとその大学は応募を掲示等で協力していただけるようになり、後輩たちからの応募が安定して増加しています。現在、中国のトップ4大学(北京、清華、復旦、上海交通)、シンガポールの国立シンガポール大学、タイのチュラロンコーン大学(英語教育コース)と提携を結び、現在インド工科大学など他の国への拡大も提携も検討中です。 応募者の水準は非常に高く、競争率5倍以上で、欧米の大学と併願している留学生の取り合いでも競り負けていません。新しい傾向として私費での参加希望者が増えています。

【就職支援】

アジア技術経営時点では、留学生の就職ニーズとコンソーシアム企業の受け入れ条件がすり合わないこともあり、コンソーシアム以外の金融、コンサル等への就職が多数ありました。また、後述する就職支援Webによるノウハウ提供や、OB・OGとの交流による就職支援体制が整備され、維持されてきました。
 本年度は、英語プログラムへ入学した学生の最初の就職活動時期で、コンソーシアム企業でのインターンシップ時では非常に評価が高い一方、OB・OGとの日本語能力に差があり、結果としてOB・OGたちが進んだ金融やコンサル等への就職は減っています。来年度からはコンソーシアム企業への就職に注力する等改善を図る予定です。

【奨学金】

文部科学省の奨学金が5名分あり、渡日前に支給を決定しています。その他2名(最大4名まで)が私費奨学生です。
 JICAが今回インドのIITハイデラバード出身者に日本留学の奨学金を出すことになり、何人か受け入れることを検討しています。

【就職支援Webによる情報提供】

当プログラムで蓄積された就職活動に関する実践的なノウハウについては、指導スタッフがコンテンツとしてまとめ、学内に閉じたネットワーク内で学生に提供されている。これにより、時間を選ばずに就職活動に関する予備知識の習得や、疑問点の解消等が出来ると学生に好評です。

■ 留学生、大学、企業が参加するメリット

□ 留学生

・日本企業に就職するための知識やノウハウなどを学べます。
・高い実績と豊富な経験に基づく就職支援を受けることができます。
・レベルに合わせた日本語教育を受け高い日本語能力を習得できます。
・奨学金制度が充実していいます。
・日本人学生、社会人学生と一緒に学ぶことで異文化コミュニケーション能力を体得できます。
・これから求められる技術と経営に関する知識や技能を習得することができます。

□ 企業

・優秀で即戦力のある留学生を優先的に採用することができます。
・留学生を受け入れることで企業のグローバル化と国際展開力の強化を図れます。

■ 留学生、大学、企業の参加方法

□ 留学生

【対象】
 本専攻への入学を希望する学生で、また学部最終2年間の学業成績がGPA基準で2.1以上であること(ホームページに掲載している要項の出願基準を全て満たすこと)。
【参加方法】
 下記の連絡窓口へ問い合わせください。

□ 企業

【対象】
 コンソーシアムの趣旨に賛同し、参加を希望し、講師の派遣やインターンシップの受け入れ等で協力できる企業。
【参加方法】
 下記の連絡窓口へ問い合わせください。

■ 連絡先

国立大学法人 東京大学 工学系研究科 技術経営戦略学専攻 技術経営プログラム
TEL:03-5841-8639

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