取り組み事例紹介

広島産業振興機構【中国地域】

学生の就職活動状況を「見える化」することで効果的なフォローを実施

Q. 就職支援の取り組み概要についてご説明ください。

就職支援事業は、座学での集合研修とキャリアコンサルタントによる個別のフォローの2つの側面から行っています。
 座学での集合研修については、1年目の7月から11月にかけて就職活動対応のカリキュラムに特化して実施をしています。講義は1コマ1時間半で24コマ(36時間)実施しており、就職活動の概要から、業界調査、自己表現活動、エントリーシート、面接等就職活動の基本知識と活動前の準備の仕方などについて、学生自身が活動するために必要な情報を提供する目的で実施しています。
 2年目は4月から7月にかけて、就職後対応の授業を中心に行っておりますが、SPI試験対策6コマ(9時間)も併せて実施しています。
 テキストについては、共通カリキュラムマネージメントセンターが作成した教材のうち、「はじめの第一歩」、「インターンシップ」、「業界研究」、「面接のコツ」の4冊を就職支援用のテキストとしています。
 これらの座学の講義をベースにキャリアコンサルタントの個別指導を行っています。キャリアコンサルタントは、学生のモチベーション管理から個別学生の特性や状況に合わせて、時には大学担当者と一緒になり細かいフォローを行っています。

Q. キャリアコンサルタントは何名体制でどのくらいの頻度で面談を行っているのですか。

年度によって学生の受け入れ人数が違うため一概には言えませんが、11名~12名程度で行っています。基本的には、学生の担当を決めて同じキャリアコンサルタントが担当の学生をフォローする体制を構築しています。学生をフォローする際には、学生との関係構築が一番大切だと考えているので、担当を固定する方式を採用しています。
 また、必要に応じて3者面談を実施しています。学生とキャリアコンサルタント、学校の就職支援担当、留学生担当者、担当教授とで行いますが、キャリアコンサルタントにより進め方は違うものの、基本的には始めの方向付けで3者面談を行い、その後学生とキャリアコンサルタントの2者で面談を進め、必要に応じて大学側との3者面談をするという流れで行っています。
 面談の頻度は学生によって異なります。多い学生になると1年間で30回行う生徒もいますが、大体平均して20回/年ぐらいになっています。
 また、キャリアコンサルタントの人数が多いことから、各キャリアコンサルタント間の情報の共有化ということが問題になってきます。そこでキャリアコンサルタント間での共有会議を行うことで、各担当の内容を平均化できるように取り組んでいます。学生の状況が見える管理をしていくためのツールを活用することで、共通課題の抽出や個人に対する指導ポイントの明確化、進捗度に応じたグルーピングを行い、対応策を検討しています。



Q. 学生の状況が見える管理をするためのツールとはどのようなものでしょうか。

「キャリアコンサルティングによる就職へのプロセス管理」(添付図を参照)というものを活用しています。これは学生がキャリアコンサルティングを受けながら、着実かつ的確に就職へ向かうこと、自分自身の就職準備状況を認識し課題を見つけて主体的に就職へ向かうことを目的としています。運用については、学生とキャリアコンサルタントが話し合い、自身のポジションと次の課題(取り組むこと)を明確にし、各ポジションの実状に応じてネットワークの活用、情報提供、応募書類、面接などの支援をするとともに、課題解決の具体的な実行計画を作る支援を行っています。
 左の図について、縦軸(Y軸)は「自分の意志・自己理解等」の進捗を表しており、日本で就職していく自身の個人的な環境を整理し、何を目指すのか、自分の特徴や能力を生かした働き方をプランとしてまとめ、最終的に明確な職業生活プランのもとに就職活動応募書類、面接準備完了までを実現する、ということ。横軸(X軸)は「就業の情報収集・就職先の把握」の進捗を表しており、就職に関する情報収集の仕方から始まり、一方では情報の質が重要なことを再認識する課程を経て、就職候補の選択、意志決定をして最終的に就職希望先決定し、そこを目指した就職活動開始可能時点をめざしていく、ということを表しています。表では、留学生の準備状況をA~Iの9つのマスで把握しています。それぞれのマスに3段階ずつの状況を設定し、Iからスタートして最終的に就職活動準備完了のAに到達するイメージです。
 このポートフォーリオによる学生の状況管理を行い、あとは日々の面談記録や「何時」「誰が」「どんな状況か」を把握するための一覧表で学生全体の管理を行うようにしています。

Q. 日本人学生に対する就職支援と留学生に対する就職支援の違いは何でしょうか。

日本人学生と留学生に対する就職活動について一番大きな違いは、留学生は日本の独特の就職活動について理解するのにとても時間がかかるということです。就職活動の事前の情報量が日本人とは雲泥の差がありますので、2年生の終わりにはキャリア教育を行っておいくことが、日本人と肩を並べるためにも必要なことだと思います。
 あとは、学生の日本語力のフォローも必要だと感じています。留学生は「話す」ことが出来る人は多いものの、「書く」能力が不足している学生が多く、文章力の強化が課題となります。留学生の多くは、意味が通る文章にするのが難しいようで、助詞の使い方や漢字の使い方、時制の使い方などの日本語力が必要だと思います。
 また、留学生のインターンシップ経験は、日本人学生以上に就職支援につながるものと考えます。肌で実務を実感することで実施後の就職に対する考え方が明らかに変わってきていることから、留学生の「意識を変える」、「気づきを与える」という意味では一番大きい経験だと感じています。また、「アジア人財資金構想」では、インターンシップ後に自身の経験したインターンシップについて発表を行う報告会を実施しているのですが、彼等の成果を企業や大学関係者に向けて発表することで得る自信はとても大きなもののようです。



Q. 就職支援に関わるカリキュラムとして「企業人・OB講話」とありますがどのような取り組みでしょうか。

もともとこの取り組みは、1期生が終了時にアンケートを実施した際、留学生から要望が多かったために次年度から企画した事業です。従来の就職支援のテキストを使用した学習ではなくて、実際に企業で働く方や留学生OBを招聘し講義を行うプログラムで、カリキュラム1年目のちょうど就職活動が始まる時期に5コマを設定しています。
 1時間半という時間の中で、実際にインターンシップ受入に協力頂いている企業の方を招聘して日本の企業で働く上での心構えや業務に対する説明などのほか、すでに卒業して日本の企業で働く留学生OBも招聘して、就職活動の方法や日本の企業で働く上で大切なこと、現在携わっている業務内容などを実施しています。
 学生の反応は、就職活動の前に企業やOBの話を聞くことが出来る上、就職活動に対するモチベーションの向上、日本企業で働きたいという目標の再確認、先輩からの就職活動においての細かいテクニックや知識なども得られるということで大変好評です。受講している学生からも活発な質疑が行われ、大変有意義な事業だと考えています。

Q. 今後の展開についてお聞かせください。

現在、広島県では自治体が中心となり、産官学が連携して留学生の受入促進から勉学・生活支援、就職・就職後支援、日本語学習、情報提供などに関しての充実・強化すべき15事業の実施検討を行っています。その中でも「アジア人財資金構想」が先進的に事業を行っていたため、これまでのプロジェクトで培ったノウハウや人的ネットワークを継承して「広島県留学生活躍支援センター(仮)」を平成23年4月に設置し、包括的な留学生支援を行っていく予定です。
 就職・就職後支援では、「体系的就職セミナー開催事業」、「大学留学生就職担当者研修」、「インターンシップ事業」、「留学生活用セミナー開催事業」、「就職後合同マナー研修事業」の5つの事業が予定されており、すでに一部事業については昨年度から実験的に実施を行っています。
 留学生の就職支援を含めたサポートについては、今後の広島県の活性化、ひいては日本経済の発展に必要な事業であり、継続して行うことに意義があると考えています。

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