株式会社ドリーム・アーツ
〈業種〉情報通信 ─〈分類〉キャリア(職務適応)
Q. 外国人社員活用の背景と現状を教えてください。
当社は企業情報ポータル型グループウェアである「INSUITE」や業務支援システム「ひびき」など大企業向けパッケージソフトを手掛けるIT企業であり、国内エンタープライズポータル市場において、3年連続で市場シェア第2位を獲得(IDC Japan調べ)しています。創業者で現社長の山本が元々インテル出身ということもあり、多様な人材による創造性発揮という点について当初から意識をしていました。これにはグローバルにビジネス展開をするなかで、「日本人の頭脳だけでは勝てない」という考えの背景のもと、いかにして国籍を問わず、優秀人材を確保・活用するかという課題意識があったからです。
そのため、1996年の創業当初よりアメリカ、タイ、中国など様々な国籍の外国人社員を雇用していました。現在は日本を含め7カ国の国籍の人材が働いています。外国人社員の中で一番多いのは中国人で本社に13名、中国の大連にある関連会社には35名います。中国以外の国籍として、韓国・ウクライナ・ドイツ・ベトナム・インドなど出身の社員が活躍しており、彼らの出身校(海外大学)は北京大学 、清華大学、上海交通大学、大連理工大学、大連外国語大学、ダルムシュタット工科大学、ロンドン大学、マドラス大学 などとなっています。また、中国からの現地の大学から定期採用を毎年行っており、清華大学、上海交通大学、大連理工大学などを中心に採用活動をしています。
入社後は営業、バックオフィス、開発と各部門に幅広く配属されています。本社には社員が90人いますが、そのうち外国人社員は18名ですから20%弱ということになります。あくまでも経験上の感覚値ですが、外国人社員を職場に受入れ、きちんとケアしていくという意味では5人に1人くらいが一番よいバランスだと思います。
Q. 外国人社員のよりよい活用や定着に向けた課題はありますか。
コミュニケーション上の課題として、外国人社員が増えてくると中国人は中国人同士等同国人で固まってしまうという傾向があります。同国人同士で固まってしまうとせっかく日本で仕事をしているにも関わらず、日本語を使う機会が減る等、日本語力の向上に関する問題も出てきますし、本人のためにもなりません。また、社内の業務だけでなく、様々なコミュニティーへの参加機会が減ってしまい、お互いに共有する情報量が減ってしまうことは課題だと考えています。
Q. 活用上、工夫をしている点をおしえてください。
「同国人同士固まってしまう」という課題に対応するため、いくつかの工夫をしています。例えば年2回開催するキックオフや社内パーティーなどの行事に、日本人社員・外国人社員問わず準備段階からの参加を促し、本人の日々の担当業務以外のコミュニケーション機会をつくり、それを活発化させるようなことも工夫しています。
また、外国人社員のキャリアプランについては、外国人社員の場合、成長欲求が高く同じ日本人新入社員と比較しても、入社後はできるだけ早く一人前になりたいという傾向があるので、1年くらいの短期間でキャリア希望が替わるとはよくあります。そこで当社では、年2回の職務アンケートをとっており、この結果をもとに現行職務を継続するか、変更するかなどの判断を本人とともに行いキャリア形成に反映させています。
キャリアの方向性としては主に3つあり
①トップ技術者になっていく
②プロジェクト管理を行なう
③営業などクライアントとのコミュニケーションを担っていく
という選択肢の中から本人の適性と希望、会社による評価などをすり合わせしながら役割を決めています。
一方で、当社では人事施策としてMBOと360度評価も行い、本人の長所を発見するという視点から部長職以上の経営陣による実力評価ランキング(非公開)を行っています。評価のポイントとしては技術力の高さに加え、謙虚さや協調性といった人柄も重視しています。完全に国籍不問であり、外国人社員の中からも、入社3年目で部長になる中国人社員もでてきています。彼の場合も相手に説明・相手の話を聴くといったコミュニケーション能力が非常に高いです。
また、当社に限らないことだと思いますが顧客への対応上、自分のスケジュールを自分で決められないという業務の性質があり、全般的にストレスを感じやすい傾向にあります。これにはメンタルケアなど予防的な意味をふくめ、人事担当者が個別インタビューを行って対応しています。
※MBO(Management by Objectives : 目標管理制度)
Q. 今後の取組についてお考えはありますか。
当社の大連拠点には現在35名おり、全員中国人ですが、キャリア形成の考え方が比較的短期志向であるという課題もあります。この点に対応するために、当社社員としての考え方・価値観、行動、長期にわたる本人のキャリア形成を支援する目的でキャリア形成のワークショップを開催したところ、今までキャリア教育を受ける機会がほとんどなかった現地社員には非常に好評でした。この成功体験をもとに、今後はこのワークショップを日本国内の外国人社員に対してもキャリア教育を行い、長期的な視野からキャリア形成を支援していきたいと考えています。
〈企業情報〉 | |
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株式会社ドリーム・アーツ | |
設立 | 1996年12月 |
本社所在地 | 東京都渋谷区広尾1丁目13番1号 フジキカイ広尾ビル3F |
広島ラボ所在地 | 広島県広島市中区基町13-13 広島基町NSビル5F |
関連会社 | 夢創信息(大連)有限公司(DAチャイナ) |
資本金 | 3億円(2009年12月現在) |
売上高 | 13億5,000万円(2008.3現在) |
従業員数 | 90名(2009年12月現在) |